11月7日に新聞記事にされていた標記事件ですが、不動産業界に勤めているものであればこんな日が来ることは想像に難しくないことでしょう。一般の人にはわかりにくいシステムかもしれません。どのようなことなのでしょうか。
売却不動産の中には、居住中の物件の他、空室となっている物件があります。更に、空室となっている部屋の中には既にリフォーム済みのものや、テーブルやベッド等が置かれているものもあります。テーブルやベッドを置いてあるのは、売主である不動産業者が物件を販売しやすくする様見栄えをよくするために置いてあるものですが、中にはそのまま家具付きで売却している不動産もあります。空室の売却不動産にお客様をいつでも(立会不要で)お連れできるよう、現地に鍵がキーボックスに保管されて設置されています。
そして、空室となっている物件に不動産業者が購入検討客を案内するときは、売主にキーボックスの番号を教えてもらうようコンタクトを取るわけですが、空室となっている物件を探す際に悪用されたのが専門サイト(レインズ)です。一度不動産業界で働いたものであれば分かることなのですが、レインズへのアクセスと、空室物件の検索は非常に容易になっています。IDとPWを控えていれば不動産会社を辞めたあとでも自宅のPCで容易にレインズにアクセスできます。そして空室を検索し、不動産会社のふりをして、空室の鍵を置いてある場所と鍵を保管してあるキーボックスの番号を聞き出せば、いつでも空室に出入りすることができます。キーボックスの番号を聞き出すときは通常名刺のFAXを要求されるのですが、中には大手不動産会社名を名乗ればそれだけで信用してキーボックスの番号を教えてくれる会社もあります。
不動産営業マンの中には、仕事中に空室に置かれたソファで休んでいるものもいますし、やろうと思えば空室に1泊するぐらい出来てしまいます。そんな状況が犯罪に悪用されてしまったのが今回の新聞記事です。