通常、不動産を売却して残代金を受領すると同時に、売却不動産を引き渡さなければなりません。しかしながら、住宅ローンが払えない場合や住み替えで新居の完成に時間がかかるが仮住まいはしたくない等の理由で売却後の不動産に住み続けたいという事情を持っている方もいます。そのような場合に不動産を売却してもそのまま住み続ける方法がございます。
一つはリースバックという方法です。売却金額は多少安くなってしまいますが、不動産売却後も新所有者との間に賃貸借契約を締結してそのまま住み続けます。
一つは、建物一時使用貸借です。不動産売却金額を新居の工事費用に充てないといけないが、新居の完成にある程度の時間がかかってしまうのでそれまで引渡しの猶予を受けたいような場合、継続した賃貸借契約とまではいかないが、1週間の引渡遅延では短いというような場合、ある程度の期間を区切って不動産の使用貸借契約(定期建物賃貸借)を締結致します。
一つは引渡し遅延という方法です。買い替えで売却決済と購入決済を同時にしなければならないが、引越しに1週間の猶予が欲しい場合に、引渡し猶予をもらう方法です。
〇〇様
今回の契約に至るまでいろいろとお気遣いを頂戴し心からお礼を申し上げます。とても素晴らしい物件と素晴らしいご家族様に巡り合うことができました。
4,000万円の物件、諸費用200万円、自己資金を300万円、手付金200万円、住宅ローン3,900万円の時の計算。
物件価格4,000万円+諸費用200万円=4,200万円(総購入費用)
自己資金300万円+住宅ローン3,900万円=4,200万円(総購入費用)
総購入費用4,200万円-自己資金300万円=3,900万円(住宅ローン)
手付金200万円+残代金3,800万円+諸費用200万円-自己資金300万円=3,900万円(住宅ローン)
手付金300万円+残代金3,700万円+諸費用200万円-自己資金300万円=3,900万円(住宅ローン)
【パターン1】
1月1日:手付金200万円、諸費用(契約印紙、仲介手数料)72万円を支払う。
2月1日:諸費用(ローン契約印紙2万円)を支払う
3月1日:銀行から住宅ローン3,900万円を受領。その中から下記諸費用を支払う。
残代金3,800万円(4,000万円-手付金200万円)
登記費用33万円
清算金10万円
ローン手数料3万円
火災保険料10万円
仲介手数料70万円
《支払金合計》3,926万円
《受領金》3,900万円
《自己資金》手付金200万円+諸費用72万円+諸費用2万円+諸費用26万円=300万円
【パターン2】
1月1日:手付金200万円、諸費用(契約印紙、仲介手数料)98万円を支払う。
2月1日:諸費用(ローン契約印紙2万円)を支払う
3月1日:銀行から住宅ローン3,900万円を受領。その中から下記諸費用を支払う。
残代金3,800万円(4,000万円-手付金200万円)
登記費用33万円
清算金10万円
ローン手数料3万円
火災保険料10万円
仲介手数料44万円
《支払金合計》3,900万円
《受領金》3,900万円
《手残金》0万円
《自己資金》手付金200万円+諸費用98万円+諸費用2万円=300万円
※手付金という売買代金の一部(本来住宅ローンとして賄う部分)を住宅ローン3,900万円を受領するまでの間仮払いする形となりますのでややこしい計算となってしまいます。
国税庁が、タワーマンション購入による節税対策に対して課税のチェックを厳しくする方針を表明しました。
これは、市場価格(時価)と相続評価額が平均3.04倍も乖離しているという調査結果によるものです。
財産評価に関する取り扱いを定めた「財産評価基本通達」においては、評価が著しく不適当と認められる場合、
国税庁は路線価に基づく一律評価ではなく個別による評価ができると定められています。
これにより、タワーマンションの相続評価が市場価格に近づくことになります。
元々、相続評価は時価の6割程度とされているところ、タワーマンションの相続評価は時価の3~4割程度だったということです。タワーマンションは土地の持分が少ないことから、土地の評価が著しく低い為にこのような現象が生じたのでしょう。
昨今、駅近のタワーマンションや地上権マンションを現金で購入するご高齢の方が増えていますが、これぐらいの対策は抑えられないと思います。それでもほかの不動産を購入するよりはタワーマンションを購入した方がまだましと考えられるからです。
新潟のリゾートマンション「ツインタワー石打」。管理組合の前理事長が組合の管理費等総額約11億7,800万円を着服。
リゾートマンションはバブル期に相次いで建設されましたが、バブル崩壊後の販売価格は3分の1程度まで急落しています。
築20年以上経過した現在、多額の修繕費がかかるようになっていますが、修繕の目処が立たないマンションが多いとのことです。
リゾートマンションは、居住者が少なく、組合総会も委任状で欠席する組合員も多く、今回のような事態になったのでしょう。
16年にわたって着服を続け、7億円の残高があるはずの組合口座もほぼ底をつき、今後の修繕はおろか将来の解体費等も払えないとなれば、一時金を組合員から徴収するしか方法がないのではないでしょうか。
杭打ちデータ流用問題もどこが問題なのかはっきりとしてきました。下記に7つの問題点を整理しました。
1.杭を打つ理由
⇒①近代以降、人口増や経済発展を背景に、軟弱な地盤にも建物を建てる必要が生じた。
②杭が建物と固い地盤をつなぎ、建物をしっかりと支えることができる。
2.杭の種類
⇒①支持杭:支持層まで杭を打ち込んで建物を支える
②摩擦杭:支持層までは打ち込まずに杭と地盤の摩擦力で建物を支える
3.杭打工法
⇒①既製杭工法:あらかじめ工場で製造した杭を埋め、杭の先端部と支持層をセメントで根固めする
②場所打ち杭工法:現場で組んだ鉄筋を穴に埋め、コンクリートを流し込んで杭を作る
4.なぜ流用したのか
⇒①建築当時は、杭打ちデータを紙で印刷するのが一般的であった。データ紙が雨で濡れたり紛失したりすると、取り直せなかった。
②データの取得や報告が軽視されていた(チェック体制の不備)
③元請け・下請けの力関係
5.法的責任
⇒①建設業法:データ流用が意図的と判断された場合、業務改善命令や営業停止となる
②建築基準法施工例:杭の先端が良好な地盤に達しなければならない(達していなくても構造上安全と確認できる)。補修などの是正措置命令。
③住宅品質確保促進法:新築住宅の引渡しから最大10年間は売主が瑕疵担保責任を負う。
6.建物の安全性
⇒①データが流用されていても、杭が支持層に届いている場合もある。
②杭の強度を実際の3分の1で計算している(安全率を3倍にしている)ため、杭の1本が支持層に届いていなかったとして、安全性が損なわれていない場合もある。
7.今後の対応
⇒①買取:マンションの価値が一番高かった時期を基準として、売主が各戸を買い取る
②建て替え:所有者の5分の4以上の賛成が得られれば、建て替える
③慰謝料:各戸に300万円の慰謝料を支払う。
不動産会社が手付金を預かるのは、万一、所有権移転時に売却不動産に設定されている抵当権等が抹消できない場合に買主を保護するためのものです。売主が抵当権を抹消できなくなり契約を解除することになったが、売主が手付金を使ってしまったがために、違約金どころか手付金さえ支払われない。そんな事態を未然に防ぐために不動産会社が、手付金を預かるのです。
【前提条件】
・抵当権が設定されたまま所有権移転をすることはできない。
・手付金を預かるのは、残代金<ローン残高、となる場合。
・手付金預かりは買主保護のため
【手付金を預からない場合】
不動産売買代金-売却諸費用-ローン残高 > 手付金
(2800万円) (100万円) (2500万円) (200万円)
【手付金を預かる場合】
不動産売買代金-売却諸費用-ローン残高 < 手付金
(2700万円) (100万円) (2500万円) (200万円)
【買主側の立場=手付金を預かられてしまうような契約で大丈夫なの】
買主側からすると、手付金を不動産会社が預かってくれるのは良いことと言えます。なぜなら、不動産会社がきちんとローン残高を把握していることの現れだからです。
【売主側の立場=自分のお金なのに自由に使えないのは納得いかない】
手付金を使ってしまった場合に住宅ローンが完済できない場合は要注意です。お金はあると使ってしまいがちです。決済当日を迎えて、手付金分の不足金が生じて所有権移転できなかった。ということでは目も当てられません。
所有している不動産を売却した場合、いつまで固定資産税を支払わなければいけないのか、引渡しのタイミング(特に12月中)で注意が必要です。(本記事は平成27年分の関東ルールのものです)
平成27年度分(平成27年1月1日時点の不動産所有者)
の固定資産税支払日:①平成27年6月30日②平成27年9月30日③平成28年1月5日④平成28年3月2日
引渡日:平成27年1月1日~平成27年12月31日での引渡し⇒上記①~④の4期分を支払う。
※ここで注意をしなくてはならないのが、売主が支払う③と④の分は平成27年度分ということです。例えば平成27年12月中に所有不動産を売却した場合、平成28年度分の固定資産税を払わなくてはいけないような錯覚に陥ってしまいます。特に12月中に引渡しをする場合で、一括納付をしていない場合、買主からもらえる固定資産税の日割り清算額は僅かです(年税額の1ヶ月分に満たない)。そのため、余計に③~④の支払いがおかしいような気持ちになってしまうのです。
所有不動産を売却するときに不動産会社と締結する媒介契約。宅地建物取引法上、この媒介契約の最長期間は3ヶ月と法定されており、3ヶ月を超える売却活動を依頼するときは、更新契約が必要となります。
すなわち、最長期間が3ヶ月と法定されているだけであり、1週間の媒介契約を締結することも可能ですし、一度3ヶ月と期間を設定した媒介契約も、どちらか申し入れることで、契約を途中で解除することも可能です。
契約を途中で解除する場合には、予定していた転勤等がなくなった、買い替え先の物件が売れてしまった、売却担当者に不手際(こまめな連絡がない、望んでいなかったチラシを入れてしまった、預けていた書類を返すのが遅い等)があって信頼関係がなくなった、等様々ございます。
中小不動産会社の中には媒介契約を解除するならば、それまでにかかった経費を請求すると脅してくるところもありますが、不動産会社が受領する報酬(仲介手数料)はあくまで成果報酬ですので、そのような要求には拘る必要はありません。